ホラー映画

2023年7月 9日 (日)

本日の映画『ヘルブレイザー』

『ヘルブレイザー』
2022年 アメリカ 監督:ジャスティン・リー
※本記事は、グロテスクな表現を含みます

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本作はホラー映画の知識が乏しい人にとっては、単なる低予算B級ホラー作品。
都会から単身異動してきた保安官。
事件らしい事件はなく、アライグマの被害など牧歌的なトラブル対処が保安官の仕事だ。
そこへどこからともなく現れた邪教集団。
邪教集団は悪魔を崇拝し、ついに悪魔の降臨を成功させた。
とある男の体を媒体に復活した悪魔は、時間の経過とともに完全なる姿を手に入れる。
半信半疑だった保安官ジョー(エド・モッローネ)は、やがて悪魔の脅威に気づき対決を決意するのだった。

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平和だったなスモールタウンが一夜で恐怖に染まる。
それを救うのは、都会に疲れた保安官。
もうコテコテすぎて、まいっちんぐな設定だ。

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加えて、随所に見られる80年代ホラーへの敬意はマニアならその気持ちを汲んであげるべきだろう。
キャラの着ているTシャツが『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』であったり、セリフには『クジョー』や『ハロウィン』といった作品を出してくる。
チョイ役ながら、『キャンディマン』トニートッド、『ゼイリブ』メアリー・フォスター。そしてエイドリアン・バーボーまで出演しているのだ。

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80年代ホラーが好きすぎて、おそらくクリーチャーも大好きで、オリジナルのデモニック・クリーチャーを世の中にプレゼンツ。これが製作側の意図に違いない。
しかしながら、足りないのは予算の壁。
クリーチャー登場シーンは悲しすぎる乏しさ。
製作陣ももっとグロテスクな場面を作り、スプラッターな作品にしたかっただろう。
結局、あまりに単純なラストを迎え、最後にこいつは誰だ?的思わせぶりがあって劇終。
次作に期待してよいのか悪いのか。

悪魔クリーチャーの演出は、予算があればかなり可能性を感じられる。
私がお金持ちYouTuberだったら、投資してクリーチャーに惨殺される役で出演したい。


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2023年2月23日 (木)

本日の映画 『サイコ・ゴアマン』

『サイコ・ゴアマン』
2020年 カナダ 監督:スティーヴン・コスタンスキ

※本記事は、グロテスクな表現を含みます

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例年だと1月・2月は暇な時期で、平日でも使っていなかった休暇を取るなど余裕のある時期だった。
職場が変わると、暇な時期が存在しない。
毎月締切りもあって、休日でもワークをしなければならなくなった。
せっかく動画作成の知識を獲得したが、あまりに時間がない。
安住の地というのは、とりあえず今のところ存在しない。

スーパーで、スポット販売していた゛こじまの角煮まんじゅう”を衝動的に購入。
甘い味付けは苦手なのだが、素朴なパッケージがいかにも老舗を感じさせたのだ。
長年続いているからには、それなりの理由がある。
こじまは、きっと長崎で超がつくほど有名ではないか?
との憶測である。

結果、意外と甘さは控えめで、肉そのものの味が伝わるまんじゅうだった。
肉も旨いが、皮の具合が非常によい。
だいたい、老舗は絶妙なバランスであることが多い。
次回リピートを決め込む。

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さて、本作。
ジャケットは、80~90年代SFホラーといった風情。
カルト作品のデジタルリマスターかと見紛うほどのレトロ感だ。
しかし実際は2020年作品である。
監督はおそらく特殊メイク畑出身と思われるスティーヴン・コスタンスキ。
「マンボーグ」という作品も撮っていて、なるほど近しい雰囲気がある。


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物語は、遥か宇宙の惑星ガイガックスで“悪夢の公爵”と呼ばれた破壊王が地球で蘇る。
当然地球は滅亡の危機に晒されるのだが、とある理由で公爵は地球の少女ミミの命令には従わなければならない。
ミミは公爵の本当の怖ろしさを知らず、好き勝手な命令を下す。
事態に気づいたのは、かつて“悪夢の公爵”を封印したパンドラを中心とするテンプル騎士団。
公爵を再び封印すべく、地球に向かう。

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作風としては、その名のとおりゴア描写を含むホラー・コメディ。
ミミ(ニタ・ジョゼ・ハンナ)の怖いもの知らずなお転婆ぶりと、凶悪な宇宙人との主従関係が面白い。
また、ミミ一家の設定も風変わりで、ブラックさ・シュールさなどを添加している。
パパのキャラクターは他に類を見ない精神設定で、独特な感性を作り上げている。

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ゴアシーンは、予測したほどではなかったが、適度な満足感を得られる。
クライマックスのパンドラ戦では、無機質と血肉のミックスが斬新な残酷性を生み、記憶に残る演出だった。
「スターウォーズ」のように宇宙人のデザインも豊富。
ただし、予算の関係からか平成仮面ライダーの怪人程度のレベルだといっておこう。


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そのうちのひとつ、ウイッチマスターは流暢な日本語を披露するが、声は女優・黒沢あすか氏が担当。


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2023年2月11日 (土)

本日の映画 『アントラム 史上最も呪われた映画』

『アントラム 史上最も呪われた映画』
カナダ 2018年 監督:マイケル・ライシーニ、デヴィッド・アミト
※本記事は、グロテスクな表現を含みます

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久しぶりの降雪。
南降雪・神田川一郎と脳内で言葉が生成され、自分のAIがあったら相当にホアだと嘆く。
始めてカレーチェーンの「インド定食 ターリー屋」を体験。
東京では『ダクシン』『ダバインディア』あたりを利用するので、スパイス的にターリーは刺激不足か。
それでも、昼飯時に利用できる気軽さから今週2回も行ってしまった。
食したのは『キーマカツカレー定食』と『チキンパコラ定食』。
パコラはインド風の唐揚げ。カツも唐揚げも、インド風の味付けが面白い。
ボリューム的には満足でき、比較的入りやすいので昼食候補としてキープ。
ちなみに、近くの『丸亀製麺』を利用したいが、いつでも行列である。
以前の職場近くの店舗は午後1時30分以降ならすんなり入店できたが、こちらでは3時過ぎても混雑。
行列を見ては嘆息を繰り返す日々。

 

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さて、本作。
「史上最も呪われた映画」との副題をつけ、なんとなく方向性が分かる作りである。
冒頭はドキュメンタリー風になっており、Jホラー『リング』にも触れていて、少々興味が湧いてくる。

1979年に製作された『アントラム』という映画作品の存在を説明。
1988年ハンガリーのブダペストで上映されたが、その映画館で火事が発生し56人が死亡。
1993年アメリカ・サンフランシスコでの上映は、観客が暴徒化。
その際LSDが全員から検出されている。
そしてフィルムは紛失。
ところが、突然フィルムは米国・コネチカット州のオークションに出品された。
史上最も死を招くといわれた作品を、我々はいよいよ目撃する。

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劇中劇となる『アントラム』。
基本は、少年と姉の物語だ。
少年の飼っていた犬が他界し、悲観した少年を慰めようと姉が弟を「犬の魂探索の旅」に連れ出す。
犬の魂はなぜか地獄に落ちていて、“地獄の門を開ければ開放される”的アイデアらしい。
姉が手に入れたという魔導書に従い、二人は森の中を探索する。

 

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森の中で、姉弟は不可思議な体験をする。
とある日本人オヤジが出現し、パンツ一丁になって切腹寸前。
陰で目撃した少年は思わず声を上げてしまう。
気づいたオヤジは「何みてんだ、こらッ。あっちいけ」などと捲くし立て、ひとりエキサイト!
散々わめいた挙句、ひとり何かを悟ってお辞儀して去っていく。

 

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正直、何やコレ!?的映像が淡々と進んでいき、これは他人にお薦めできる代物ではないと判断。
結構な割合で退屈なのだ。
姉と弟の森探索が延々と続き、欧州の文芸作品かとも思う。

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ところが、終盤に動きがあった。
姉が“ハンター”と呼ぶ、二人の男たち。
片方はこれまたパンツ丸出しのヘンテコ・ファッション。
彼らに捕らえられた姉弟の運命は前半の牧歌的なシーンから一転し、緊迫感を伴っていく。
直接的ではなく、うんと遠回りしてHELLといえばHELLという結末。

 

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そして、再びドキュメンタリー部分が挿入。
はい、今観ていただいた作品ですが、実は科学的分析で恐ろしい細工が施されていたとの説明。
こういう仕掛けがあって、これを見続けた貴方の運命は…という構造。
信心深い人は、こんなもの見せやがって、と激高するかもしれない。
作り物だと思っても、少なくとも1日はもしかして…な不安が続くかもしれない。

 

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終わってみれば、個人的にはある程度評価している。
おそらくホラーマニアにしか理解できぬスパイスが効いており、それが後からジワリと滲む。
シュールさが魅力か。

 

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2023年1月29日 (日)

本日の映画『スプラッター・ナイト 新・血塗られた女子寮』

『スプラッター・ナイト 新・血塗られた女子寮』
 2009年 アメリカ 監督:スチュワート・ヘンドラー  
 ※本記事は、グロテスクな表現を含みます


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 大寒波、到来らしい。
 ついに雪かと思ったが、いまだにこの周囲は降っていない。
 このままの寒さなら、新天地での冬はどうにか越せそうだ。


 山形のアンテナショップで、干し柿を買う。
 昔は目もくれぬ食べ物であったが、一度食べたら忘れられなくなった。
 砂糖は一切使用せず、原材料は柿オンリー。
 この潔さが、称賛に価する。
 水分が抜けて凝縮された柿の甘みは、冬の寒さとマッチする。
 柿=田舎=矢口高雄の漫画と連鎖し、さらに魚紳さんというキャラに結びつく。
 そういえば、彼の正体というか、素性は描かれたのだろうか。
 三平一平氏の葬儀シーンが印象深いが、魚紳さんが駆けつけてくれたことに安堵した読者も多いのではないか。
 ああ、釣りキチ三平読みてぇ。




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 さて、本作。
 『スプラッター・ナイト 血塗られた女子寮』というタイトルに記憶があり、鑑賞となった。
 その作品は1983年公開だが、鑑賞したかどうかは記憶にない。
 80年代当時、私はまだマニアとしては駆け出しの時代。
 情報は『ビデオでーた』などの雑誌のみで、当然ネットという便利なアイテムは一般化されていなかった。
 鑑賞する作品も、自分の好みを優先し、ゾンビやクリーチャーに特化していた。
 タイトルから恐怖の根源が明らかに人間と解る作品は、鑑賞の対象外だった。

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 現在は、とりあえず鑑賞ということが可能になった。
 厳選する必要がなくなったので、マニアウケしそうなネタを拾いに行くこともある。
 こうなると、マニアとしての幅が広がり、他人にとってはどうでもよい情報を蓄積していくことになる。
 私の頭の中のマニア的情報収集力は、有益な対象に向けていれば間違いなく博士級だと自認する。 
 しかし、現実は箸にも棒にかからぬ知識なのだ。
 時代が時代なら、ロジャー・コーマンに弟子入りして、一時代を築いていたかもしれない。

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 で、本作は80年代のリメイク作品となる。
 ストーリーは、タイトルどおり学生寮が舞台。
 「シータパイ」なる固有名詞がでてきて、タオパイパイ(桃白白)などを想起するも、どこかなじめない。
 どうやらこれは、女子寮の名前らしい。
 で、シータパイにはUSAホラーにはお馴染みの”しきたり”がある。
 このしきたりを受け入れて、仲間としての結束を固めるようだ。

 学生生活最後の年を迎え、主人公キャシディ(ブリアナ・エヴィガン)らは女子寮でオープニング・パーティー。
 女子寮とはいえ、パーティーはド派手で、男子もしっかりウェルカム。
 性やドラッグの開放地帯として、ものすごいパーチ―になっています。


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 そこで仕掛けられた悪ふざけ。
 それが思わぬ展開を呼び、死人が出てしまった。
 警察に通報しようとするキャシディと、隠蔽しようとする仲間。

 学生時代最後の年を棒に振るわけ?
 
 正義感と自己防衛の激しい葛藤が見られ、結局事件は隠蔽されることに。


 それぞれが秘密を抱え、ようやく卒業を迎えた。
 再びシータパイで盛大なお別れパーティーが実施されようとしている。
 ところが、キャシディたちに何者からかあの事件に関するメッセージが!
 そして仲間は、ひとりひとり命を落としていく。

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 1983年のオリジナルのみならず、他作でもこのプロットは使われている。
 そのため、斬新性は感じられず、あとは残酷描写や各キャラの個性によって差が生まれてくる。
 本作でもメンバーの人物描写は明確に分けられており、工夫された設定といえよう。
 いやゆるスラッシャー系作品だが、犯人は誰か?とのミステリー要素もしっかり。
 いくつかの伏線を用意し、あら意外ね~的犯人を仕立てている。

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 残酷描写であるが、スプラッターと冠するわりには、控え目かもしれない。
 事件の発端となったタイヤ・レバーが、後に改良され凶悪な武器と化している。
 その割には直接的な描写を避けているので、タイトル期待で鑑賞すると、物足りないかもしれない。


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 意外性が高いのが、寮母ミセス・クレンショ―の描写。
 終盤にはショットガンを構えた勇壮な姿が印象深い。
 この演出が不思議だったが、エンドロールでキャストをみると納得。
 なんと『スター・ウォーズ』レイア姫でお馴染み、キャリー・フィッシャーだった。
 こういう発見が、マニアならではの喜びである。


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2023年1月27日 (金)

本日の映画『プラネット・オブ・ピッグ 豚の惑星』

『プラネット・オブ・ピッグ 豚の惑星』
 2020年 カザフスタン・ブルガリア  監督:ヴァレリー・ミレフ

 ※本記事は、グロテスクな表現を含みます

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 仕事内容はガラリと変わったが、すんなり終わらないようになった。
 休みの日さえ、仕事を気にしなければならない。

 Youtubeで外人のオッサンが激ウマなデビルマンの唄を披露し、それを見てニヤリとする。
 ヘンテコな振り付けを一緒に真似し、軽快なリズムを刻む。
 デービールッ。
 その叫びには、哀愁が込められている。
 裏切り者の名を受けて、すべてを捨てて戦う男。
 なんとカッコ良い歌詞ではないか、シビれるゼ。

 そういえば、シビれるなんて感覚、久しく失っていた。
 続いて、今日は串田アキラで魂をウォッシュしよう。

 

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 さて、本作。
 カザフスタン・ブルガリアという珍しい産地である。
 まったく予想がつかず、日本側の配給は彩プロと、これまたスペシャルな組み合わせ。

 冒頭は、荒廃した街で、いきなりガン・アクション。
 画質は荒く、主人公は中村獅童氏と山本代表を足して割ったような風貌。
 ボバ・フェットならぬボバ・ファット。
 ジェットパックで豚人間が飛来し、ガトリングガンを撃ちまくり。
 背負ったパックには小人が潜み、これまたマシンガンを乱射。
 主人公やその助手の女戦士と激しい銃撃戦を披露する。

 

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 物語の舞台設定も、面白い。

 第3次世界大戦。
 豚と人間の配合で生み出されたマズル(豚人間)は、超人兵としての役割を担っていた。
 ところがマズルは人間に反乱を企て、立場が逆転する。
 人類は約70%が死に絶え、残りの30%も生殖機能を失った。
 マズル側には、マザーと呼ばれる女王豚がおり、彼女だけが新たな生命を生み出すことができる。
 人類はマザーの抹殺を画策し、英雄と崇められているロブに運命を託すのだった。

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 汚物感たっぷり。
 SFサイバーホラーともいえる。
 そして、独特なコメディ感。
 もちろん、スプラッター感も忘れていない。

 

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 英語棒読みに近いセリフ回し。
 豚人間は簡易的だが、作風には十分マッチしている。
 主人公の姉は、私負けないので系のスーパーウーマン。
 濡れ場もあり、かなりグラシアスなボディだが、髭が生えている。
 同じくヒゲなオッサン・アンドロイドもインパクト大。

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 マザーの居場所を知っているという怪人物ベネディクト・アスホールの名が記憶に残ってしょうがない。
 顔も相当ヤバイデザインで、まさに尻穴なので要注意だ。

 

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 個人的にツボだったのは、ほぼ全裸の美尻ナルシスト・ラファエル。
 彼が登場すると、さわやかな風が吹き、長髪がフワり。
 どうしても目が向いてしまうキワドい股間は、セクシャルバイオレット・ナンバーワン。
 クライマックスでみせる演舞は意味不明だが、常に股間露出リスクにさらされながらバレエのごとき躍動をみせる。

 そして、最大の楽しみであったマザーの正体は!?


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 役者はほとんどが知名度ないが、主人公らの父親としてダニー・トレホが登場する。
 相変わらず凶悪な顔だが、神を信じるなという教えは説得力がある。

 全体を通して、お下劣大百科に収録するレベルナリ。

 

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2023年1月15日 (日)

本日の映画『処刑!血のしたたり』

『処刑!血のしたたり』
 1989年 アメリカ 監督:スコット・スピーゲル
 本記事は、グロテスクな表現を含みます

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正月休みが完全に終了し、せわしない日常に戻る。
年末・年始の特別感に浸り、調子に乗ってワイン福袋に3万円の大散財。
さらに産地直売のコメは旨いはずだと仮説を立て、ネット注文を試みる。
品は到着したが、買い置きしていたコメが大量に残っていた。
味見は、春を迎えるかもしれない。

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さて、本作。
公開当時は、まったく関心を寄せなかった作品である。
当時は化物やクリーチャーが絡まないと、鑑賞対象としていなかった。
要は、人間が犯人と明らかにわかる作品は避けていたのだ。
おそらく、公開当時に何らかの情報は得ていたが、作品の雰囲気から興味をそそられなかったのである。

 

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ホラーマニアとして経験値を積むと、本作は鑑賞マストアイテムだと理解。
『死霊のはらわた』に関わる関係者たちが多数参加。
脚本を務めたスコット・スピーゲルは、本作では監督である。
サム・ライミやブルース・キャンベルは、俳優として出演。
さらに、80年代を象徴するスプラッターシーンありとなれば、これはもう間違いない。


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舞台は、売り場面積が比較的広いスーパーマーケット。
その名もウォルナット・レイク・マーケットという。
夜も更け、閉店間近なこの店に、不審な男が現れる。
レジ係ジェニファーの元カレ・クレイブだ。

 

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彼はジェニファーに未練があり、復縁を迫る。
見かねた職場のメンバーと乱闘が始まり、ようやくクレイブは店外に追放。
安心したのも束の間、実は従業員が驚くサプライズ発表があった。
その後、各人は翌日営業の準備に従事するが、得体の知れぬ殺人鬼が店内に出現。
ひとり、またひとりと命を失っていく従業員たち。
そして、魔手はジェニファーの身にも伸びる。

 

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スーパーという閉鎖空間で行われるスラッシャー。
安直・単純なようでいて、実は伏線も用意されている。
殺人鬼はジャック・ニコルソンのような狂気には及ばないものの、味のあるキャラとして描かれた。
殺人が始まるまでの時間がやや長めのようだが、カメラアングルを変えるなどの細かな努力が感じられる

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終わってみれば、殺人鬼の動機と従業員のデス演出には違和感を感じる。
職人芸と呼ぶにふさわしいスプラッター・シーンの数々は、どれもサービス精神旺盛といえるだろう。
状差し(伝票等を刺しておく文房具)を使っての眼球貫通。

後頭部・牛刀振り下ろし切断。
プレス機による頭部圧縮。
頭部フック吊り。
極めつけは、電動スライサーによる顔面切断。
尺は短いが、ホラー史上でも上位の残酷シーンといえる。

 

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2023年1月 9日 (月)

本日の映画『スペースバンパイア』

『スペース・バンパイア』
1985年 アメリカ 監督:トビー・フーパー
※本記事は、グロテスクな表現を含みます


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仕事の都合上、動画編集について調べざるを得なくなった。
YouTubeなど初期の頃はニーズなどないと思っていたが、一度観てみると止まらなくなった。
自分には先見の明は、まるでなかったことを悟る。
しかし、つまるところ、素人動画での強い牽引力は、『乳』でないかとも思う。
そういうジャンルに目を奪われて、無意味な時間を過ごす。


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そして、ひととおりの動画編集過程を学ぶと、自分でも作れるような気になってきた。
実際、機能説明の簡易的なショート動画も作成してみる。
今回、無料ソフトで作成したが、かなりそれらしいものが出来上がった。
今年の目標を、ユーチューバー・デビューに再設定した。



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さて、本作。

ホラーマニアには必須と言っても過言ではない、80年代SFホラー作品である。
作品のインパクトは強烈で、その理由は2つある。

1つは、SFXの魅力。
犠牲者のミイラ然とした描写や、スペースバンパイア自体のデザインに味がある。
そして最大の魅力は、女バンパイアを演じたマチルダ・メイのインパクトだ。
そう、これも『乳』がすべて。
しかも、登場シーンの全裸率が極めて高い。
こんなキレイな人が、全裸かよッ。
これはAV創世期を経験した同胞たちが共感する感想であろう。
現在のように、あらゆるフェチが網羅された時代でなく、需要と供給はアンバランスだった。
本作のような供給はあまり事例がなく、それ故にいつまでも記憶に残る作品となったわけである。

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宇宙船チャーチル号は、米英の混成チームを乗せて打ち上げられた。

地球に接近するハレー彗星の研究が目的である。
レーダーで捕捉した謎の巨大物体。
乗組員が調査を開始すると、それが宇宙船であることが判明。
内部調査の結果、クリスタルな容器に収棺された全裸の男女を発見。
それを回収したのが、運の尽き。
3人は、スペース・バンパイアだった!!

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そうとは知らずに地球に到着する宇宙船。
バンパイアは目を覚まし、人間のライフ・フォースを吸収。
そう、宇宙のバンパイアは人間の血ではなく、精気をエネルギー源とするのだった。
劇中でも彼女らは吸精鬼と呼ばれ、描写次第ではかなりAVよりな内容ともいえるだろう。


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監督は、『悪魔のいけにえ』などのトビー・フーパー。
個人的には大好きな監督だが、本作の展開はイマイチ。
最終的に町は大パニックとなり、スケールも大きいのだが、何かが足らない。
ただ前述のように、全裸とSFXのインパクトが高すぎて、マニアとしては外せないだけだ。
展開の面白さが加われば、また違う感想になったかもしれない。
結局は、『乳』優位にひれ伏すしかないのか。

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2022年12月31日 (土)

本日の映画『バトルロワイヤル・オブ・ザ・デッド』

『バトルロワイヤル・オブ・ザ・デッド』
2021年 アメリカ 監督:マックス・マーティーニ
※本記事は、グロテスクな表現を含みます

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束の間の休日。

どこの部屋からか聞こえる無配慮な足音。
加えて1時間は続く低振動。
部屋の中で子供がバスケットボールをドリブルしているか、某ファミリータイプのテレビゲームで体感ゲームに興じているのか。
入居当初は静かな環境だったが、いまや休日の平穏すら奪われる環境に辟易の年末である。
マンションに入る人間は、足音すら周囲に響くかもしれないとの心構えが必要だ。
たいてい、今まで済んだマンションは途中から騒音に悩まされ、子供は国の宝などの幻想に疑念を抱く。
引越しにおいて最上階を希望するものの、銭の関係で断念せざるを得なかった。

年末ジャンボが当たれば、そういう憂いは全て解消される。
微笑む女神を想像し、ひとりヘッドバンキングしながらフミヤの声真似に没頭。
神サマ、ヘルプッ!ヘルプッ!
そのうちヘルプはHELLに聞こえ、この歌の真意を知ることになる。
あの子は全てを捧げてしまうよッて歌詞、なんかエロいッス。

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さて、本作。
ホラーのくせに、ニーチェの言葉から開始。
鑑賞後、この言葉が何の意味もなさないのが理解できるが、この時点では知る由もなし。
なにか崇高な物語なのかと期待感を抱く。

物語の舞台は、我が同世代には聞き覚えのあるニューメキシコ州サンタフェ。
この地名を聞くだけで、青春時代が蘇るのが不思議だ。
現在は三井のすずちゃんだが、当時は三井のリハウス・りえちゃんだった。
人気絶頂時の大胆な写真集発売は、まさにセンセーショナル。
そのサンタフェが舞台とあらば、何かしら親近感が湧いても不思議はないだろう。


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物語は、下品なファミリーの会話から始まる。
仕事してんすか?と問いたくなる親父が、息子に絵本を読み聞かせるような情景。
レアものコミックを少年が見つけて、親父がさも目撃したような語りを披露。
どうやら本作はコミックの話らしい。
リアル感を自ら放棄し、マンソン兄弟冒険譚の始まり、始まり~。


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といっても、ストーリーは単調。
一時期はメジャー団体のトップまで上り詰めたマンソン兄弟。
警察沙汰を犯し、今は落ちぶれて弱小団体のリングに上がっていた。
その団体のレスラーは、体をパンプアップするために薬物を使用。
それが中国製ということで、話はヤバイ方向へと移っていく。

そういえば、中国製のワクチン効果について何の報道もないのは何故だろう。
しかもスゲー感染拡大しているようで、ワンダーですな。



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で、中国製ホルモン注射の威力は、予想どおりだった。
使用したレスラーは、ほぼゾンビ化。
しかも襲われた人間は、感染する。
我らがマンソンブラザーズは、怪しげな雑貨の婆さんから頂戴したマスクを被ってゾンビどもと大乱闘。
マスクには不気味な力が宿っていて、悪と戦う力を二人に授けるのだった。


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こう書くと面白そうだけど、バトルまでの道のりは長し。
コメディ色も取り入れているが、個人的に笑いのツボは一致せず。
ええ、寝落ち数回しています。

ゾンビメイクは、ソコソコといったレベル。
プロレスラーVSゾンビとなれば、バトルに期待するも不発。
キャメルクラッチで首チョンパ、ボストンクラブで胴体切断なんぞがあれば、高評価だったはず。

最後に露出狂のゾンビが登場し、股間のボカシ越しに屹立したナニが確認できる。
そこへ銃弾が放たれ、ラストシュート!
これはぜひとも無修正でお願いしたいゾ。


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ちなみに俳優陣に特徴あり。
ストーン=クリス・マーゲティス(もとレスラー)
スカル=マイク・キャリー(もとレスラー)
サンプ=ランディ・クートゥア(総合格闘家。もとUFC王者)
ダッチ=バス・ルッテン(総合格闘家。もとUFC王者)
カーソン=デビッド・メドウズ(もとネイビーシールズ・スナイパー)

本日の映画『ドーン・オブ・ザ・ビースト 魔獣の森』

『ドーン・オブ・ザ・ビースト 魔獣の森』
 2020年 アメリカ 監督:ブルース・ウェンブル

※本記事は、グロテスクな表現を含みます

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あっという間の年の瀬。

人生において、間違いなく怒涛の年であった。
特に真夏の引越しは、キツすぎた。
脱水症状寸前になりながら、荷物をまとめた記憶が生々しく残っている。


思えば、調子に乗って中古DVDを買い漁り、気づけばマウンテンになっていた。
やむを得ず売却に走ったが、段ボール6箱くらいは処分したか。
ゲームも含めて売却価格10万円程度の臨時収入に気が大きくなる。
まだ部屋に残るDVDをどうすべきかが、来年の課題といえよう。


最大の山場は、職が変わったことだ。
少し理想とは違うが、文章書いて収入を得るという目的は達せられた。
しょうもないレビューを書き続けてきたが、それが肥やしになったことは間違いない。


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さて、本作。

冒頭で、ビッグフットの名前が露出し、方向性がロックオンされる。
知らない方に説明すると、簡単に言えば『雪男』のようなもの。
本作ではアメリカ北東部の深い森にて目撃例が1985年より200件以上。
しかも9月4日から10月2日の期間に限られているというから、ワンダーである。


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ビッグフット題材と聞くと、これまでの経験から期待値はグンと下がる。
たいていは特殊メイクが思いきりチープ。
せいぜいがチューバッカレベルに留まり、ビジュアル的な魅力に欠ける。
ところが、本作。
始めから全体像は見せず、部分露出で観客の興味をひく。
これが、どうも獣人らしくない。
どちらかといえばクリーチャー感が強く、微かな希望の光が挿し込んでくる。

未確認生物学のフィールドワークにやってきた学生たち。
ビッグフットの痕跡を探していたら、本物に遭遇!?というコンセプトであるが、中小プロダクションはそのままでは終わらない。
「金がないなら、アイデアで補え」という格言のごとく、肉付けはしっかり施されている。


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ビッグフットではない?という疑念を観客に植え付け、ストーリーは進んでいく。
どこかで見たような古く汚い本は、子供のイタズラとも取れる代物。
その本に、森の奥に潜む悪霊ウェンディゴの記載が!!
しかし、実はこれも伏線。
製作陣は二重・三重の罠を用意していた。
ただし、唸るような品質ではないので、期待はほどほどにお願いしたい。


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結局、中盤から終盤にかけて、C級ホラー闇鍋状態に突入。
好感持てるのは、『死霊のはらわた』ライクなムードが漂うこと。
特殊メイクも及第点だが、残念なのはアクション部分。
襲撃時の描写が少なくて、グロ臭漂わすも十分な露出とはいえない。
これは間違いなく予算不足だろうが、金さえ積めば秀逸な作品ができるかもしれない。


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ラストの空気感も好みだが、ちょっと何か足りないという感想で落着。

 

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2022年11月13日 (日)

本日の映画『誕生日はもう来ない』

『誕生日はもう来ない』
1981年 カナダ 監督:J・リー・トンプソン

※本記事は、グロテスクな表現を含みます

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巷では岐阜市の「ぎふ信長まつり」が世間の注目を集めた。
参加者46万人との表記を見つけたが、これはもうキムタク効果の何者でもないだろう。
たしかに木村拓哉氏扮する信長は見栄えよく、ポスター一枚とってもカッコ良い。

自治体が主催する祭りにおいて、歴史上の人物に有名人が扮することは少なくない。
私自身は祭りに参加するなど吸血鬼が太陽を浴びるがごとしである。
自ら人混みに埋もれていくシチュエーションは、何としてでも避けたいのだ。

とはいっても、過去に一度だけ祭りで有名人をみたことがある。
その人物は、ルイルイ・太川陽介氏だ。
まだテレビ東京のバス旅で脚光を浴びる前だったので、失礼ながら昔のアイドルとしか思えなかった。
静岡まつりで確か徳川家康に扮していたはずだ。
バス旅ブレイク後だったら、気合を入れて見学したかもしれない。

それにしても、キムタク起用は相当な仕掛けだったといえる。
全国のニュースにも取り上げられ、相当な広告効果を得たはずである。
今回の盛り上がりは大成功かもしれないが、勝手ながら来年の心配をしてしまう。
次回は、誰が信長役なのか。
まさか一般人というわけにもいかなくなり、キムタク級有名人となるとかなりハードルが高くなってしまう。
あ~あ、信長まつりは果たして持続可能なのか。
おおきなお世話だが、日本の片隅でこんな心配をしている人間がいることを紹介しておこう。

ちなみに私の考えは、織田信成氏の起用である。
本当の子孫で、あれだけ教科書掲載の画にクリソツなのだから、効果は十分ではないだろうか。
歴史的にとても感慨深いと思うが……。

 

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久々のブログ更新で、前置きが長くなってしまった。
さて、本作。
製作1981年と私の好物である80年代ホラー作品である。
『13日の金曜日』などと比較するとメジャーではないが、タイトルは何となく聞いたことがあるという人もいるのではないだろうか。
原題は『HAPPY BIRTHDAY TO ME』。
相手に祝ってもらう言葉が、自分自身に向けられている。
つまり、誰にも誕生日を祝ってもらえない”ボッチ”バースデイという訳で、これだけで隠れた悲哀を感じさせるのだ。


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物語は、学校を舞台にしたスラッシャー・ホラー。
トップ10と言われる優秀で金持ちな学生たちがつるみ、時に他人に迷惑をかけながら学生生活を謳歌している。
やがてメンバーに忍び寄る謎の人物。
ひとりまたひとりと消えていくメンバー。
果たして犯人は誰なのか。
そして、その動機は?
という、サスペンス・スリラーを中心に構成されている。

 

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幾重のミスリードを引き起こす空かし。
もうこれで犯人確定と思ったら、まだ裏があって仰天。
しかも、そこに説得感はなく、かなり強引なオチが貴方をウェイティング。

 

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反面、残酷シーンにあまり派手さはない。
(といっても、当時レベルでは十分に見応えあり)
バイクの車輪にマフラー巻きつけて顔面グラインダー。
ウェイトリフトの重さマシマシ、股間にとどめのストーン。
ケバブもビックリ、肉串のディープスロート。
特筆すべきは、開頭手術シーンがインパクトあって、時代を考えればかなりヤバイ描写ともいえる。

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ここまでは小粒なホラーだけれど、ラストシーンにカルトな魅力あり。
嵐の中で、ひっそり準備された地獄のバースディ・パーティー。
アイデアも描写も唯一無二かもしれない。
親父さんの絶望感に感情移入し、気分は澱む。
そして明かされる犯人に、なんでやねん!のツッコミを。
家族や友人に祝ってもらうことの尊さと裏腹に、そうでない人々が世の中にはたくさんいるであろうことも気づかされる。

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ヒロイン・バージニアを演じたのは、メリッサ・スー・アンダーソン。
『大草原の小さな家』が代表作といえるだろう。
農場ホームドラマの俳優が、ホラーでスクリーム。
なかなか感慨深い作品でした。

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