『那些年 我們一起追的女孩』
2011年 台湾 監督:ギデンズ・コー(九把刀)

今回は、台湾の青春映画を取り上げます。
たまにはホラーや格闘から離れて、こんな映画も観ています。
つい数年前までは、台湾映画など全く興味を持たなかった私。
ただ映画マニアという気質から、外国に行くときはその地が舞台になった作品を事前に鑑賞する癖がつきました。
台湾もしかり。
これまでに数作を鑑賞してきました。

ただし、本作を知ったのは、全く別のきっかけがあったのです。
それはYouTubeにて、この作品の主題歌を発見したことにあります。
歌手の名前は胡夏さんといって、おそらく台湾出身と思われます。
明らかに実力のある歌声と、日本のフォークに通じるメロディが、一聴しただけで耳に残りました。
加えて、PVは全編を映画のシーンで構成。
曲が持つ魅力と映像が、見事にマッチしているのです。

私的には、この曲のメロディが大いに気に入り、毎日のようにYouTubeで再生。
ひょっとして、何か昔の日本のヒット曲ではないかと疑ったのですが、違っていました。
ただ、作曲は日本人の木村允利さんいう方で、どこか懐かしさの残るメロディの理由が理解できたのです。
さて、何回もPVを眺める毎日に、この映画の全編が気にならないわけがありません。
実は日本でもどこかの映画祭で上映された経歴があるのですが、現時点で日本版DVDは発売されていないことが判明。
ええい、それなら台湾で買ってやろうじゃないか。
映画マニアの私に、その行為は勲章ともいえる決断です。
そうして、ようやく本作を鑑賞できたのでした。

さて、本作は監督でもある九把刀さんの自伝的作品という内容です。
日本の高校生にあたる時期から大学、そして就職後にかかる時期までを、仲間とともに過ごした青春時代の思い出として描いています。
ちなみに、監督の九把刀さんは作家としてのキャリアが有名らしく、現地の漫画の原作なども手掛けていて、けっこう活躍しているようですよ。
主人公は、監督の分身となる柯景騰。
昔馴染みの友人たち数人とろくに目標も持たぬまま学校生活を謳歌しています。
友人らは教室のマドンナ・沈佳宜に夢中で、柯も心惹かれていきます。
やがて二人は相思相愛となるのですが、ボタンの掛け違いというのはどこにもあるもので、それを修正するには二人は精神的に未熟でした。
お互いの想いは一緒だったはず……。
未練と後悔と意地と……。
若かりし頃に、誰にでもありそうな甘く、そしてホロ苦い思い出。
台湾と日本との違いはあっても、なんとなく頷ける青春映画といえるでしょう。


正直言えば、主題歌のPVがあまりに完成度が高いため、本編には過度の期待をしてしまいました。
主人公である柯景騰役の柯震東、ヒロインの陣妍希(ミシェル・チェン)、共にかなりの魅力がありますが、ストーリー的にはやたら感動できるという内容ではありません。
人生の岐路を回帰し、あの時ああしていたら、どうなっただろう?
私的には、そのようなことを感じさせる作品でした。
ちょっと興味を惹いた箇所を挙げましょう。
主人公・柯が、大学で総合格闘技の闇試合をします。
このとき、なんと実写版デンプシーロールを披露。
また、学生たちの夜のオカズは、なんと日本のAV。
聞いたことのある女優さんの名が登場。
これらから、台湾の若者は少なからず日本の影響を受けているようです。
台湾でDVD物色していると、未だに飯島愛さんの作品に出逢えるのも納得かも。

本作は、台湾では大ヒットしたらしいのですが、なかなかDVDが見つかりませんでした。
ようやく見つけた店も、棚のはるか上部に置いてある始末。
台湾も洋画に人気が集中するようですね。
そして、さらなるショックな出来事が発覚。
一部の情報で、本作が9月に日本公開とのこと。
それって、いずれ日本版DVDも発売されるってこと!?
あの苦労は、何だったのか。
まさに本タイトルのごとく『あの頃、DVDを追いかけた……』ってことですよね。
マニアって、辛いッス。

せっかくだから、この時のDVD探しの旅行記を書いてあります。
パブーという電子書籍投稿サイトで公開していますので、興味のある方は読んでいただければ幸いです。
リンク(クリックすると、パブーのサイトでご覧いただけます)
・『奇怪伯爵のオタ・カル漬丼in台湾 2012年12月①巻』
・『奇怪伯爵のオタ・カル漬丼in台湾 2012年12月②巻』
・『奇怪伯爵のオタ・カル漬丼in台湾 2012年12月③巻』