本日の映画 『モータルコンバット』
「モータルコンバット」
2021年 アメリカ 監督:サイモン・マッコイド
「モータルコンバット」のオリジンは、1992年Midwayが製作したビデオゲームである。
実写撮り込みという当時としては珍しい手法と、SFとも怪奇チックともとれるキャラの特異性、粗削りなグラフィックながらインパクト大の残虐描写という特徴がカルトな人気を博した。
初の映画化は、1995年だった。ソコソコの格闘描写は用意されており、ゲーム原作としては努力賞的な存在だったが、テーマ曲である「テクノシンドローム」が秀逸だった。自ずと湧き上がるバトルビートは、多くのB級格闘マニアを鼓舞させたことだろう。
そして2作目が製作され、次に日本市場ではビデオで続編らしきものが2作程度販売されていた。
映画の3作目・4作目かと期待したら、これが実にテレビ版。熱きバトルシーンも用意されておらず、これのどこがモータルなのかとやりきれない怒りを抱いていた。
しかし、アメリカン・オタクのパワーは文化を絶やさなかった。
「モータルコンバット」のゲームは脈々と進化を繰り返し、そのカルト性を磨いていった。
各キャラクターの異様さは、オリジナルティに溢れている。
そして、時代と技術の変化によって、彼らの繰り出す技の描写もスプラッター・ホラー顔負けのものとなっていった。
ナンバー1にならなくてもいい。
もっと特別なオンリーワンという素晴らしい歌詞があるが、それは「モータルコンバット」にも当てはまるのだ。
ゲームの進化とともに、ファンの数も再び増加したのだろう。
2011年にWEBミニドラマである「モータルコンバット:レガシー」が製作され、そしてついに1995年版のリブートとして2021年版が完成したのだった。
本作は、主人公としてオリジナル・キャラが設定されている。中国系イギリス人であるルイス・タン演じるコール・ヤングだ。
彼は、日本の忍者ハサシ・ハンゾウの末裔である。サブ・ゼロの襲撃を受けてハサシ一族は全滅の危機に。それを救ったのが、ライデンだった。
ゲームでも人気のサブ・ゼロとスコーピオンの確執を盛り込んだことで、ストーリーに厚みが増したことは間違いない。
何よりも驚いたのは、ハサシ・ハンゾウ役に真田広之氏を抜擢したこと。年齢を感じさせないアクションシーンは素晴らしく、逆に復讐に燃える凄味などは年齢を重ねたが故に出せる味だろう。
スコーピオンのパートは何よりも際立っている。
その他のバトルシーンも、これまでにない良質さを誇っている。
なぜかゴローだけがパペット感丸出しなのだが、そこは前作へのオマージュだろうか。
加えて、残酷描写もきっちり盛り込んできた。
スプラッターな描写はレーティングに関わってくる。
利益を追求すれば避けられてしまう要素だが、オリジナルの魅力がきちんと把握できているということだろう。
真田氏の凄味が際立って、存在感はいまいちなコール。
だが次回作の布石があるようで、ぜひとも今後を期待したい。
なお、コールの覚醒で現れる能力は、夢枕獏氏の小説に出てくる「金剛拳」に近いイメージだった。
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