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2016年6月26日 (日)

本日の映画 『エボラ・シンドローム』

 『エボラ・シンドローム』
 1996年 香港 監督:ハーマン・ヤウ

 *本記事は、グロテスクな表現を含みます

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 芸能人の不倫騒動などで脚光を浴びたワード『ゲス』。
 昔から存在していた言葉ながら、頻繁に目にすることはありませんでしたね。
 それが、ほぼ毎日目に入るようになりました。
 
 漢字で書けば、『下衆』。
 成り立ちや真の意味を知らずとも、何となく最低な人間を意味することは感じられます。
 ちょっと、考えてみましょう。
 貴方の周囲に、ゲスの称号を授けたい人間がいますか?
 嫌いな人間はいても、ゲスまで達するレベルは思い当たりますか?
 ●●ちゃん、性格良くないけれど、ゲスまでは達していないな。
 △△課長、威張っているけれど、ゲスと云えるかどうか自信ない。

 

 そう、ゲスとは、相当低いレベルに達していないと、なかなか戴けない称号なのです。
 周囲にそういう人がいない方、幸せですね。
 しかし、ゲスがこれほど広まってしまった今日、我々にはゲスに対する更なる理解が必要ではないでしょうか。

 YES、GESU。
 NOT、GESU。
 あいつは、ゲスだ。
 君は、ゲスではない。
 
 ダンディ坂野のギャグが『ゲッス』と変わらないうちに、私達は様々なゲスと向き合い、理解を深める必要があります。
 ゲスとは何ぞや?
 ゲスを齧った私たちは、更なるステージへと上っていきます。
 そのために重要なヒントが、本作『エボラシンドローム』に隠されているといっても過言ではありません。

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 ストーリーを紹介しましょう。
 とある組織の下っ端カイは、ボスの奥さんと浮気三昧。
 ある日、それがボスにバレて、絶体絶命の危機に。
 しかし、カイは火事場のファッキン・パワーを発揮し、逆にボスらを殺害して国外逃亡。

 10年後、カイの姿は南アフリカ・ヨハネスブルグにあった。
 知人のチャイニーズ・レストランで、職に就いていたのである。
 しかし、オーナーの妻からは見下され、生活は最低レベル。
 鬱憤の溜まる毎日だった。

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 ある日、店で調理する豚肉の仕入れでトラブルがあり、オーナーとカイは新たな調達先として原住民の村を訪れる。
 到着してみると、村の様子がおかしい。
 病人が続出し、村の祈祷師が一心不乱に対処している。
 目当ての豚肉を手に入れ、二人は村を後にした。
 が、途中に口論となり、二人は別々に行動することとなってしまった。

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 カイの目前に現れた原住民の女性。
 彼女も何らかの病気らしく、意識も朦朧としていた。
 そのような状態にもかかわらず、女性の半裸姿はカイの欲情を刺激した。
 アフリカの大地をベッドに、思わずヤッちまったカイ。
 実は女性はエボラ出血熱に冒されており、当然ながらカイの体内にウイルスが侵入。

 店に戻ったカイは、予想通り高熱に冒される。
 普通なら発症し、それは死に至るはずだった。
 しかし、1000万人に一人は、発症しない人間がいるらしい。
 そして彼は、エボラ・ウイルスのキャリア(保菌者)となった。

 奇跡の復活を遂げたカイは、病中に冷たい仕打ちを受けたオーナー夫妻を殺害。
 しばらくは店を切盛りし、エボラ感染した豚肉やオーナー夫妻の人肉でバーガーを調理。
 それを客に提供するというキング・オブ・ゲスの行為に耽る。
 そして、運命の再会。
 香港で殺害したボス夫婦の娘が、店にやってきたのだった。
 娘はカイの顔は覚えていなかったが、彼に染みついた血の臭いが記憶を呼び覚ますのだった。

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 先に気付いたカイは、香港に戻ることを決意。
 エボラ・ウイルスと共に、再び香港の地を踏む。
 殺害したオーナーの金を元手に、高級ホテルに宿泊。
 娼婦を買い、金もエボラもばら撒くよ。
 ああ、香港。
 一人のゲスな男によって、とてつもない脅威が迫る。

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 監督ハーマン・ヤウと、主役カイを演じたアンソニー・ウォンのコンビは、1993年の『八仙飯店之人肉饅頭』でホラー映画史上に名を残しています。
 私もタイムリーで知っていましたが、好みのテーマではなかったために当時はスルーしていました。
 『人肉饅頭』のインパクトは絶大で、それに次ぐ本作、および『タクシー・ハンター』という三部作をスーパー・クレイジー極悪列伝と称してアピールしているようです。

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 本作を知ったのは、とある映画本の記事。
 何やら凄いらしいということは判ったので、観賞する機会を待っていました。
 中古でもなかなかの金額が付いていましたが、レンタルも解禁になったようで、一頃よりはかなり身近な存在になっています。 

 前評判どおり、エロ・グロは当たり前。
 蛙の調理シーンにオェー。
 人間の頭部をドアに挟んで手動開閉。脳味噌ドロリ。
 倫理観を踏みにじり、身勝手街道まっしぐら。
 通常、アウトブレイク系作品は、自分の身を犠牲にしても仲間を救うプロットが埋め込まれるはずですが、本作は真逆。
 美談で終わらせず、ゲスな人間がどのような行動に出るかを直感的に描いたともいえます。

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 香港映画にはありがちですが、およそエボラ出血熱をきちんと研究して作ったかどうかは怪しく、チープさは否めません。
 また、本来ならば事件解決のカギとなるであろうボスの娘も、あまりに中途半端なポジション。
 尻切れトンボ的な扱いに、計画性の無さを感じてしまうでしょう。

 しかしながら、カルトの称号は相応しく、当時の香港映画のバイタリティは存分に表現されています。
 かなり観客を制限してしまう作品ですが、これもまた映画の文化の一つかと。
 まあ、かなりの確率でゲスを理解していただける作品だと思います。

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