本日の映画 『MONSTER モンスター(2012)』
『MONSTER モンスター(2012)』
2012年 アメリカ 監督:ブルース・デイヴィソン
この手のジャンルは、できるだけ怪物の正体をできるだけ隠し、効果的にその真相に迫っていくのがセオリーです。
しかし、本作は冒頭20秒の原題が表示された時点で正体が判明。
あ~あ、やっちゃいましたよ。
邦題でいくら隠しても、原題は100%暴露なのだから、どうしようもない。
あまり期待していなかったのに、モチベーションさらにサゲサゲ。
最悪のスタートを切っちまった訳です。
舞台は、グッド・モーニング・ベトナムならぬ、グッド・モーニング・サウス・ダコタ。
親父世代のDJ、ハーレーの軽妙なトークが、町のラジオを通して響き渡る。
季節外れの大雪となったが、町はビッグ・イベントを控えて意気揚々。
ハーレーは、イベントの興行主でもあった。
80年代ロック・フェスティバルの開催で、町に5000人の集客を見込んでいたのだ。
会場の整備のため大規模な森林伐採を指示するも、環境保護を訴えるサイモンたちに作業を阻まれる。
かつてハーレーとサイモンは同じバンドで活躍したミュージシャンだったが、今では犬猿の仲。
ハーレーがサイモンの母親とヤッちまったのが原因らしい。
彼は、リアル・マザー・ファッカーだったのだ。
ハーレーはサイモンに環境保護の歌を披露する場を与え、どうにかフェスティバルを開催に漕ぎ着ける。
フェスティバル当日。
サイモンの曲は全く場違いで、ロックを求めている観客はドッチラケ・ムード。
続いて出演したアリス・クーパによって、冷めた観客のロック魂は再び燃え始めたが、大音量に激怒した怪物が会場に乱入。
人々を踏みつぶしたり、胴体を真っ二つにしたり、その所業はHELL以外の何者でもない。
デッド・ウッドの町は、史上最悪の恐怖と混乱に陥るのだった。

怪物をめぐり、世論は保護派と抹殺派の真っ二つに分かれる。
相対するハーレーとサイモンも、そのぞれの思惑で行動を起こす。
収まりのつかない怪物は、やがてラピッド・シティをも襲撃。
事態を重く見た州は、軍隊を派遣。
はたして、町の運命はいかに。
怪物の演出は、モロCGです。
ソコソコの技術は見受けられますが、合成度に適当な余力を残しています。
デザイン性は低く、私的好みとは全くかけ離れたもの。
ブルドーザーを放り投げたり、車を投げてヘリに当てたり。
人間を踏みつぶして圧殺したり、ヘッドを齧って切断したり。
車以上のスピードで走るという芸当も披露。
恐怖よりも、面白味にスポットを当てた演出といえるでしょう。
ストーリーも、基本路線は薄っぺらで滑らかなエアリズム。
しかし、意外と飽きがこないのは、B級マニアにしか判らないような細かなネタを散らしているためでしょうか。
ロック・フェスにスティングを呼んだが、雪で来れなくなった。
その替わりがアリス・クーパー(なんと本人が出演)で、怪物に蹴られてすっ飛んでいきます。
事件を解決しそうな熟女保安官は、それらしい雰囲気を随所に醸し出すものの、結局活躍しません。

怪物保護派の女性グループたちは、その意志と裏腹に、次々と怪物の犠牲になって死んでいきます。
適度に蒔いた不条理のタネが、本作を風変わりなコメディな作品に育てあげるのです。
これらの作りから推測すると、製作はアサイラムかと思ったら、やはりビンゴ!でした。
あのラシュモア山を舞台にしたラストは、本作最大の見どころです。
歴代大統領の彫刻と怪物の配置は、トランスフォーマーで見たオプティマス・プライム(私的にはコンボイ)とスフィンクスの香り。
戦闘機が放ったミサイルが、リンカーンの顔直撃。
足場が崩れ、落下寸前のハーレーの腕を掴んだサイモン。
その後のシーンは、ある意味B級映画の至宝ともいえるバカさ加減がエメラルド・スプラッシュ!!
アンビリーバボーな画を見せてくれるのが映画の真髄なら、本作も立派にその役割を果たしています。

B級馴れしていない方には、この面白さは感じられないかもしれません。
実際、とあるサイトにはクズ映画との酷評も見られます。
この作品の真価を語るには、ある程度の低級映画経験が必要です。
大胆かつ直感的な演出は、選ばれた者にしか許されない行為だと言っておきましょう。
ちなみに、ハーレーとサイモンを演じている2人は、1970年代ポップカルチャーのアイコンと言われる方々らしいです。
こういう配役も、知る人ぞ知る評価ポイントでしょう。
ドント ミス イット!
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