台北 2015年1月⑨ 『伊聖詩私房書櫃』
『伊聖詩私房書櫃』
軽い昼食の後、目的もなくプラプラしていた伯爵。
台北のカフェなぞに行ってみようかとなって、再びMRT(地下鉄)に乗車。
台北駅まで戻り、乗り換えで台電大樓駅までやってきた。
地上に上がり、周囲を見渡す。
地図で確認し、最寄りの出口はあっているものの、目印となるものが皆無。
目指すカフェは、ここから徒歩で約10分。
当然ながら、目視はできない。
地図をみても、自分の向いている方角すら分からない。
明らかに、困ったちゃん。
そういうオーラが、滲み出ていたのだろう。
そこへ、自転車に乗った女性がかなりのスピードでやってきた。
何か、伯爵に話しかける。
しかし、その言葉が、明らかに早い。
中国語?と思ったが、よく聞けばメイ・アイなんちゃら……と言っているような。
おそらく、英語に切り替えてくれたのだろう。
たぶん、メイ・アイ・ヘルプ・ユー?なのだろうな、これが。
直感した伯爵だったが、その女性のオーラがあまりに強い。
表情に少しでも笑いがあれば安心するのだが、その娘は微笑すら浮かべていない。
黒ぶち眼鏡の奥に光る眼光は鋭く、怒りすら含まれているような気がする。
むうっ、うぬは闘気を身にまとったか!!
おもわずラオウ口調が飛び出し、これにはトキの拳で対応するしかないと決意。
流す。
流している。
眼鏡娘の出す剛を、伯爵の柔で受け流すのだ。
実際は何も発することができずにいた伯爵。
英語で説明する言葉がでてこない。
この男は英語すら話せないと判断されたようで、眼鏡娘は再びバイシクルにライドオンし、リーヴしていった。
ホッと一息つく間もなく、再び話しかけられる伯爵。
今度は、若い男。
しかも、日本語だ。
空襲警報っーーーーーーーーーーー!!!!
海外で、笑みを浮かべて近寄ってくる奴。
これはこれで、危ない。
ヘタレ・ハートの伯爵は、思わぬ危機に直面したのである。
詐欺か、スリか!?
チェンジ、ザボーガー!! ゴーッ!!!!
今の俺は、秘密警察・大門豊。
ちょっとでもおかしな真似をすれば、飛龍三段蹴りを繰り出し、ザボーガーの速射破壊銃でこっぱ微塵にしてやるぜ!
ココロの中はゲスの極みに達していた伯爵に気付くこともなく、青年は伯爵の差し出したガイドブックを確認。
伯爵が行くべき方向を指し示してくれた。
日本語できるんですね。
伯爵の問いに、あまりできませんと謙遜の青年。
どうやら、本当に親切心で対応してくれたようだ。
そういえば、このエリアには大学があり、学生たちで賑わう。
困っている外国人を助けようとしてくれたのだ。
さきほどの女性も、きっと同じだったに違いない。
台湾の学生は、なんと親切なんだ。
それに比べて、日本はどうだ。
いや、そもそも自分だって、そんな真似はできないだろう。
親切心から近寄ってきた女学生を、ラオウに見立ててしまうほど俺の心は歪んでいたのか!
意気消沈の伯爵。
こんなところで、人生の反省が待っていようとは……。
秘かに受けたダメージを胸に、ようやくカフェに到着。
シャレオツな雰囲気が、自分には相応しくないと自虐する。
土曜の午後にしては、空いている。
日本のガイドブックに掲載されるぐらいだから混雑は必至と覚悟も、これは嬉しい誤算。
メニューは中国語と英語で、日本語はなし。

お目当ては、ここでもパッション・フルーツのチーズケーキ。
注文を取りにきたイケ面兄ちゃんに言うと、ちょっと待って下さいジェスチャー。
厨房に確認しに行ってしまった。
品切れもあるのかよ!
当然といえば、当然か。
でも、はるばる来たのだぜ、台北よ。
その想いが届いたのか、イケ面に兄ちゃんからOKサイン。
よし、これにコーヒーをつけて、パーフェクトの組み合わせ。
お値段、ケーキ120元(約450円)。
コーヒー150元(約550円)。
ケーキの甘さは控えめ、チーズ濃厚にパッションが華やかさをプラス。
コーヒーも本格的で、量も多い。
日本にあれば、間違いなく通いたくなる店。
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