『パレ・デ・シン 君品酒店』

伯爵はホテルに一旦戻り、部屋に入ってしばしの休憩を。
本日の宿は、『パレ・デ・シン』。
既に4年越しの利用であり、伯爵の常宿であった。
内装が豪華の割に、料金は同ランクのホテルに比べればリーズナブル。
何よりも、台北駅に近いという地の利がある。
台北駅の地下は広大で、店も多い。
雨が降ったら、ここを散歩するだけでも十分に楽しめる。
食事場所も結構あり。
更に、伯爵が必ず訪れるDVD店も台北駅付近にあるのだ。
台北駅近くにホテルは数軒あるが、比較的新しく、豪華さを追求するならば、やはり『パレ・デ・シン』という選択になってしまう。
これまではデラックス・タイプの部屋を予約していたが、今回は空き無し。
仕方なく、スーペリアに宿泊。
部屋の内装は似ているものの、大きく異なる点が2つ。
まずは、部屋の眺めがデラックスに比べて悪い。
なんか、隣のマンション風建物が見える感じで、カーテンを開放すべきか悩む。
もうひとつは、風呂の作り。
デラックスはシャワー・ブースが独立しているが、スーペリアはバスタブのみ。
入口ドアの裏に作られているという独特な配置は変わらずで、シャワー・ブースがないと使い勝手が悪い。
ホテル・オリジナルサイトからの予約では、料金的に大差はないので、デラックスを選択したほうが無難かも。



さて、この日の夕食。
わざわざ隣駅まで徒歩で歩き、茶芸館で定食を食べようとしたら、なんとシャブシャブ屋に様変わりしていた。
台湾でシャブシャブってのも、なんだかなァ~。
なんか、気に入らない。
しょうがないから、来た道を戻る。
夜のネオンを眺め、店はたくさんあることを確認する。
歩き疲れで、既に足も限界に近い。
気力も、すでに尽きかけている。
全てを諦めようと思った時、ふと脳裏に浮かぶ店があった。
そうだ、『功夫拉麺』があるじゃないか!!!
『功夫拉麺』とは、台北駅ビル内にある店のことだ。
値段もリーズナブルで、味は当然のクオリティ。
何よりも、入店しやすいという利点もある。
記憶を頼りに、台北駅ビル内を進む伯爵。
ところが……。
ない。
ナッシング。
知らない中国料理屋に替わっている。
結構繁盛していたはずなのに、何があったのだ『功夫拉麺』!?
他にもフードコートや店は存在するものの、遂に伯爵の心はブロークン。
自暴自棄になって、俺って惨めモードに突入だ。
結局、閉店間際の弁当屋で、とんかつ風の弁当を購入。
ついでにコンビニで台湾ビールを手にいれ、ホテルの部屋でいただく極貧ロンリー・ディナーを体験。
日本のビジネスホテルでやったことはあるが、まさか台湾のホテルで弁当食う羽目になろうとは!!
やるせない思いと裏腹に、弁当は意外と美味。
まあ、これはこれで良しとしよう。

翌朝。
楽しみにしていた朝食ビュッフェに向かう伯爵。
まずは料理を眺め、2年ぶりの変化を確認しておく。
目立つところに陳列されし魚は、さんまではないか。
いらん、いらん。
台湾の朝に、何故にさんまなのか?
アイデアとしては面白いかもしれないが、自分の嗜好には合わない。
あれッ、スモーク・サーモンがない。
これまで必ず供されていたのに。
うあぉ、ハムやソーセージの種類も少なくなっている。
劇的な変化に戸惑う伯爵。

中華の点心も、好んで食べていたものが消えている!?
フンガーッ。
期待していたもの、殆どが消えているではないか。
和食コーナーのおにぎりなぞ、混ぜているワカメの割合が多すぎる。
全然旨そうでないぞ。

こうなると、アラばかり探すようになる。
オムレツ作っているシェフ、愛想ねぇー。
他のスタッフも、二コリともしないぜ。
チェチェチェチェチェーー。
カーッ、ペッ。
帝国、崩壊。
あのローマ帝国さえ滅んだのだ。
いつかは、こういう日が来ると思っていたが……。
そうだ。
せめてパッション・フルーツを食べて、気を取り直そう。
パッション・フルーツを覚えたのは、このホテルだった。
外国人客が5つも6つも食べていたっけ。
しかし、そのパッション・フルーツすら姿は見えなかった……。
経営方針、変わったのか?
このままじゃ俺、あんたを嫌いになっちまうよ……。
グレードが下がったという訳でもないが、好んで食べていた品々が消失。
その日のメニューが偶然にそうであったのか。
それとも、毎日がこうであるのか。
とりあえず、二年越しの期待を裏切られる形となって、何とも残念。
