本日の映画 『シンデレラ・ボーイ NO RETREAT NO SURRENDER』
『シンデレラ・ボーイ /NO RETREAT NO SURRENDER』
1985年 香港 監督:コリー・ユン(ユン・ケイ)
主演:カート・マッキニー 注目俳優:ジャン・クロード・ヴァンダム
私のブログ内では久し振りの、『格闘映画レア』カテゴリー作品です。
ヴァンダムの無名時代の作品ということで、彼の隆盛期に日本でもビデオ化されていました。
ヴァンダムのアクションとしては、『サイボーグ』や『キックボクサー』と比較してインパクトに欠けますが、全体的な存在感は十分にあります。
当時はヴァンダム目当ての鑑賞でしたが、再鑑賞するとコテコテの演出が心地良く、笑わせてもらいました。いや、格闘映画マニアにはウケルッす。たぶん……。
主人公ジェイソンは、ロスの空手道場で日々稽古に励んでいた。
親父が師範なのでソコソコの実力はあったが、ブルース・リーへの憧れが異常に強く、稽古中のパートナーにさえ突然「あチョー」なる怪鳥音を発して技を試す始末。
親父に何度も注意される、ちょっと困った存在だ。
ある日、3人の怪しげな輩が、道場を訪問。
彼らは正体不明の犯罪組織で、有力な道場を傘下に治め、金儲けを企んでいたのだ。
正義感の強いジェイソンの親父は、当然ながらこれを拒否。
すると、用心棒キャラが闘いを挑んでくる。
一人目との対戦は親父に分があったものの、次の格闘家イワンの実力は圧倒的だった。
親父の足は、ブロークン。
それを見たジェイソンは、怒りに駆られてイワンに挑むが、全く歯が立たなかった。
この出来事が元で、親父は道場をたたみ、ジェイソン一家はシアトルへと移住する。
引っ越し早々、ジェイソンにはRJという友人ができた。
二人はすぐに意気投合し、行動を共にする。
しかし、これを良く思わない人物がいた。
隣人スコットである。
いじめっ子気質のスコットは、RJを目の敵にするが、ジェイソンがそれを救う。
スコットの苛立ちが募る中、ジェイソンは全米チャンピオンが師範という道場に入門を試みる。
運悪く、スコットは既にそこの道場生であった。
スコットの奸計によって、実力者たちとのスパーリングをする羽目になったジェイソン。
根性は見せたものの、ボコボコにされて退散。
さらに、道場生たちとの諍いは続く。
意中の人キャリーの誕生パーティーに参加したジェイソン。
キャリーはかの道場師範である全米チャンプの妹で、周囲には常に道場生たちの姿があった。
中には、あからさまに好意をみせる男もいたのである。
そのような状況もわきまえず、キャリーとディープ・キスしたりするジェイソン。
当然反感を買って、皆の前で喧嘩。
格上の先輩に叩きのめされ、笑いものとされてしまう。
心配するキャリーの制止を振り切り、パーティー会場を飛び出すジェイソン。
全ての事が、マイナスだった。
習った空手を駆使しても、喧嘩に負ける。
尊敬していた父親の、落ちぶれた姿。
ジェイソンの自尊心は、ズタズタな状態であった。
傷心のジェイソンが向かった先は、憧れの人ブルース・リーの墓だった。
墓の前で、ジェイソンは懇願する。
「あなたのようになりたいのに、なれない。
どうしたらいいんだ。
助けてくれよ、リー先生!!!」
号泣議員のように、泣き叫ぶジェイソン。
家に帰れば、親父にボロボロの姿を見られ、口論となった。
そして、秘密にしていたガレージ内の特訓場も、バレてしまう。
お前は未だこんなことをしていたのか!!
親父も自分を抑えられない。
ええいっ。
ああっ、それだけはッ!!!!
ビリビリと剥がされるリー先生のポスター。
ガッデ~ムッ!!!
絶望の淵に落とされたジェイソンは、家を飛び出した。
RJの元を訪れ、事情を話すジェイソン。
RJのアドバイスで町はずれの空き家に移動。
そこにトレーニング器具を持ち込んで、どうにか居場所を作った。
一人うたた寝をしていると、何者かの気配。
ああっ、あなたは!?
驚くジェイソンの目前に現れたのは、ブルース・リー!?
いや、違うぞ。
その名をリー・タイガーと言った。
タイガーは、ブルース・リーの化身に違いない。
その日から、夜な夜な二人の特訓が始まる。
「武とは、暴力を止めるということだ」
磨かれていく技と精神。
ジェイソンは、次第に変わっていった。
そして、事件は再び起こる。
全米チャンプの元を訪れる謎の人物。
そう、あの謎の犯罪組織が、ついにシアトルまで進出してきたのだ。
なりゆきで、全米チャンプと犯罪組織の3対3の試合が開催。
しかし、それは犯罪組織の罠だった。
試合に乱入したのは、あのロシア人格闘家イワン。
全米チャンプをも血祭りにし、止めに入った妹のキャリーまで危険に曝される。
観客席にいたジェイソンは、リングに乱入。
武とは、暴力を止めるためにある。
リー先生の教えを胸に、ジェイソンの技が炸裂する。
出演者は、リー・タイガーを除いてほとんど欧米人。
香港映画ながら、やはりアメリカ向けの作品といえます。
プロデューサーが呉思袁(ジャッキーの『蛇拳』『酔拳』等も製作)なので、基本はカンフー作品の骨格を持っています。
欧米向けにアレンジされているので、修業シーンも様変わり。
普通にパワー・アンクルつけてのランニング。
腕立て。
なわとび。
エキスパンダー。
ご家庭でやれてしまう種目の数々。
しかし、それがパワーアップして、自転車より早く走ったり、指立て伏せができるようになったりします。
セオリーでは、かつてのカンフーの達人に習ったりするものですが、今回はブルース・リー似の、正体がよく判らない人物というのも、味があります。
最終的には、作品内でその正体は判るのですが、これも格闘映画では稀に見かけるネタですね。
白人アクターの格闘映画は、アクションの動きが遅いことが多々あります。
本作の主演であるカート・マッキニーも、素晴らしいアクションとは言えません。
しかし、製作年を考えれば、許容範囲というか、白人小僧にしてはガンバッている方ですね。
無名時代のジャン・クロード・ヴァンダムも、やはり当時としては良いアクションをこなしています。
意外と重要なのが、イジメっ子気質のスコット。
デブです。
アメリカ映画では欠かせない、いつも何かを喰って、口の周りにクリームとかソースつけているデブです。
あまりの定番キャラぶりが逆に嬉しく、そういえば最近こういうキャラが減ったなあという感想を持ちました。
アメリカ映画におけるデブ・キャラ考察。面白そうなテーマじゃありませんか。
本作は、やはりブルース・リーへのリスペクト度が非常に強い作品。
アメリカ人のツボを巧く刺激した内容で、商業的狙いがあからさまと言えるかもしれません。
しかし、根本には修業による成長と、復讐を遂げる爽快感というカンフー作品の魅力を多分に含んだ内容でもあります。
テーマ曲もノリノリのロックで、アメリカンアレンジの工夫も興味深いですね。
主演のカート・マッキニーは、本作以外ではあまり名を聞きませんでしたが、その後はテレビをメインで活躍しているようです。
シンシア・ラスロック主演の『SWORN TO JUSTICE』にも出演しているらしいので、機会があればまた鑑賞してみようと思っています。
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